「『原発はCO2を出さない』というのは大ウソです」はアンチ原子力のプロパガンダ

(注)以下の文章の続編は、続・「『原発はCO2を出さない』というのは大ウソです」はアンチ原子力のプロパガンダでご覧いただけます。

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JANJAN-Blogに以下のような「記事」が掲載されたので、Nyangoとしては以下のようなコメントをつけた。執筆した安住るり氏との応酬を楽しんでいただければ幸い。

もともとの記事

原発はCO2を出さない」というのは大ウソです
(安住るり)

原発はCO2を出さない」というのは大ウソです。

電力会社は、「発電時には」CO2を出さない、と最近こっそり言い換えました。

原子力発電をするためには、ウランが必要です。まず、これの採掘の為、次にウラン輸送の為、次にウラン精錬の為、次にウラン濃縮の為、その前に原子炉建設の為、たくさんのCO2を出します。

発電のときには、CO2は出ません。しかし、発電するたびに大量の「死の灰」が出て、海中にも空中にも放射能が漏れ出します。「人体に影響がない程度に薄まっている」とクニや電力会社は言いますが、微量の放射能でも、長期に亘れば様々な影響があります。桜の花の異常は、各地の原発の周辺で確認されています。電力会社は、その調査の妨害の為に原発周辺の桜の樹を切り倒した例さえあります。原発周辺の海では、巨大化した魚や奇形の生物がたくさん見つかっています。それをマスコミはほとんど報じません。

濃厚な「死の灰」は、厳重に管理し続けなければなりません。殆ど永久にです。

猛毒の放射能が漏れ出さないように、「ガラス固化」(この技術は完成していない)だとか、地中深く埋める(この場所も確保されていない)とか、あれこれ模索されていますが、どの方法も、その作業によってCO2を出します。膨大な量です。

またそのために多額の費用も掛かりますが、それは電気料金に転嫁しなければ電力会社は破綻します。

原子力発電は、技術的にも経済的にも、袋小路に嵌っているのです。
しかも、万一チェルノブイリ級の事故が起これば、狭い日本は逃げ場がありません。
静岡県浜岡原発は、電力会社が言っていた「固い地盤」どころか、実は、砂岩泥岩層の上に立っています。最近の小さい地震で大揺れしました。本格的な東海地震がきたら、首都圏は壊滅です。

民主党政権は、鳩山首相以下、「CO2削減の為に原発推進」などと、オッペケぺーなことを言っています。科学者でも、専門が違うと、インチキ話を信じてしまうのでしょうか。呆れ果てます。

原発は7度Cも高い温水を大量に海に捨てて地球温暖化に大貢献している。

原発放射能を出し、海を、空を、日常的に汚染している。

原発は発電時以外には大量のCO2を排出している。

地球の未来の為に、「正しい知識」を学びましょう。

http://www.janjanblog.com/archives/1249/

Nyangoのコメント(その1)

安住さん

「ウラン精錬の為、次にウラン濃縮の為、その前に原子炉建設の為、たくさんのCO2を出します。」

「たくさんの」なんて曖昧な言葉を使っても意味ないと思います。ライフサイクルアセスメントの観点でみて、発電1kwhあたり何トン-CO2になるのか、具体的な数字と算定根拠を示さないと、記事として意味をまったくなしません。

私がどこかで見たデータでは、確か、建設費やウラン採掘コストとか全部みても、原子力発電が火力より10分の1以下になるって結果だった記憶があります。今手元にないので提示できませんが。

具体的な数字は、この記事を書いた安住記者だったら、「たくさんのCO2」と書いたからには、容易に示せるでしょう。

示されないというのであれば、この記事は、ただの「アンチ原子力発電のプロパガンダ」と誰もが受け取るでしょう。

ついでにもう1つ。

原発は7度Cも高い温水を大量に海に捨てて地球温暖化に大貢献している。」

当たり前の話ですが、排水された海水は拡散します。熱容量も大きいので、原子力発電所からの排水程度では、海水の温度もまったく上がらない筈です。結果、地球温暖化への影響は極めて軽微と考えられるのですが、その根拠は何なのでしょう。

示されないというのであれば、この記事は、ただの「アンチ原子力発電のプロパガンダ」と誰もが受け取るでしょう。

安住さんの返信(その1)

原発は7度Cも高い温水を大量に海に捨てて地球温暖化に大貢献している。

原発放射能を出し、海を、空を、日常的に汚染している。

原発は発電時以外には大量のCO2を排出している。

以上、事実を広めています。
「アンチ原発プロパガンダ」って、私が原発に反対して、どんな個人的な「得」があるのかしらね。原発推進は、日本にとって良くないことだし、世界にとって危険なことだから、反対しています。
「核のゴミ」の処理方法がありますか? どんどん溜め込んでいるだけじゃありませんか。
新潟の大地震で、東電の原発敷地に積み上げてあったドラム缶がたくさん倒れましたね。

どこの原発でも、事故発生の通報遅れ、隠蔽が、繰り返されています。
青森の六ヶ所村の再処理工場も、不具合で止まっています。
核燃料サイクル」という苦し紛れのシステムは、事実上破綻しているのです。

5月1日のコラムのほうの記事を、「総合的に」よくお読みください。
「マイクログリッド」の時代に、着々と世界は進んでいるのですよ。
それについて、ご意見をお書きください。

答えになっていません。勿論、安住さんに回答義務なんてありませんが、記事の信憑性そのものを問われたのですから、きっちり取材された方であれば、ソースなり根拠なり、丁寧に反論すると思います。

Nyangoのコメント(その2)

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原発は7度Cも高い温水を大量に海に捨てて地球温暖化に大貢献している。
原発は発電時以外には大量のCO2を排出している。
以上、事実を広めています。

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だから、「7℃高い温水の排水が、一体、地球温暖化にどの程度貢献しているの?」と聞いているのですが。中卒程度の理科の知識で考えれば、如何にも胡散臭い話なので、その根拠を求めているだけなのですが。

だから、「大量のCO2って具体的にどのくらいなの?」って聞いているのですが。「大量」っていうのは主観的な言葉です。同じ数量に言及するときでも、どの立場に依拠するかによって、「大量」にも「少量」にもなります。「1万円」は私のような庶民にとって十分「大金」ですが、年収10億の人からみたら、ただの「はした金」であるのと同じです。

上記の論点は、安住さんが具体的なソースを付した上で具体的な数値を示せば、すぐに解決する話なのですが、敢えてそうされないところをみると、この記事はロクに裏取りせずに、気分にまかせて書きなぐっただけの「記事」と誤解されてもおかしくないと思います。


(注)以下の文章の続編は、続・「『原発はCO2を出さない』というのは大ウソです」はアンチ原子力のプロパガンダでご覧いただけます。


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