自動販売機とコンビニの節電効果

 未曾有の被害をもたらした、東日本大震災の影響により、深刻な電力不足が懸念されている。現在の供給能力は、東京電力からリアルタイムで提供される電力消費情報から判断して、3700万キロワット。一方、夏場のピーク消費電力は6000万キロワットと言われている。現在稼動を停止している火力発電所の再開、小規模発電施設の運用により、5000万キロワット弱の供給能力は確保される見込みではあるが、夏場に向けて、更なる節電が求められよう。

 家庭における不要な電灯の消灯、エアコン使用の一部自粛等による節電効果は相当見込まれる。更なる節電策として、自動販売機の稼動自粛、ピーク需要時におけるコンビニの電気使用自粛が指摘されているが、どの程度の節電効果があるか、試算してみた。

 住友信託銀行のレポートによると、全国の飲料自動販売機の台数は260万台程度と言われている。東京電力管内の人口は全国の4割弱と言われているので、管内の自動販売機台数は、人口に概ね比例するものととみなし、比例按分して、104万台としよう。一方、自動販売機1台あたりの消費電力は、500〜1000W程度と言われているので、中間値をとって0.75kW(750W)としよう。すると、東京電力管内の自動販売機の消費電力は、104万台×0.75kW=78万kWと推計される。現在の供給能力の2%ということになろう。

 一方、コンビニはどうか。京都大学の学生のレポートその他ネットに転がっているソースを信用すると、概ね500kwh/日の消費電力量が、平均的な相場とみてよさそうである。消費電力に換算すると、500kwh÷24時間≒20kW。店舗数は、コンビニエンスストア統計調査月報((社)日本フランチャイズチェーン協会2010年2月)によると、43,000店程度である。東京電力管内の店舗数は、人口に概ね比例するものととみなし、17,000店としよう。すると、東京電力管内のコンビニの消費電力は、17,000店×20kW=34万kWと推計される。現在の供給能力の1%弱ということになろう。

 自動販売機の稼動自粛とピーク需要時におけるコンビニの電力消費自粛を仮に行ったとすると、110万kWの電力、現在の供給能力の3%弱程度の削減が計算上可能ということになる。「家庭での節電に努めましょう」というお題目は大事だけれども、費用対効果の高い対策は何かということについても、マスコミはきちんと調査し、国民に周知して頂きたいものである。