大相撲八百長力士の処分は、強引か?

 大相撲八百長への関与が認定された力士・親方が、いよいよ処分された。処分された力士の中には、調査手法が強引であるとして、その結果に大きな不満を持つ者がいるという。戦いの舞台を法廷に移す覚悟の者も少なくない。

 事実上解雇に近い処分を下すためには、本来、関与への確たる証拠、裏付けの存在が必要と考える人も多いだろう。確かに、刑事裁判においては、推定無罪を大前提と考えるとともに、有罪を裏付ける相当の証拠が存在する場合にあっても、常識に照らして有罪であることに少しでも疑問があれば無罪とする、というルールが厳格に守られていることになっている。ただし、検察をはじめ訴追する側には、強制力を伴う、強力な捜査権限が付与されており、証拠収集に万全な態勢だ。

 一方、八百長調査は、あくまでも、私的な団体である財団法人日本相撲協会の内部的なものであるから、当然にして、強制的な手段に頼ることができない。すべては、関与が疑われた力士の協力次第である。産経新聞等の報道によると、力士側の協力は殆ど得られなかったという。力士の中には、携帯電話提出にも応じず、「壊してしまっている」「機種を変更してしまった」と弁解した者もいたという。

 調査に非協力的な力士に関しては、八百長に関与した確たる証拠がなくとも、引退勧告や解雇などの厳しい処分を下しても止むを得ないだろう。そうでなければ、八百長力士は非協力を貫く限り、絶対に処分されることはない。これだけ、世間を騒がした問題である以上、興行主である日本相撲協会はもとより、国民的スポーツということになっている大相撲の健全な発展を期待することは出来ない。第一、正直に関与を認めた力士との間と衡平でない。

 ところで、米国においては、飲酒運転の取締りに際し、アルコール検査を忌避した者は、飲酒運転と見做し、厳しい刑罰を科すことになるが、今回の八百長処分の考え方も、それと全く同じである。とにかく、言い逃れやごね得を許してはいけない。

 てなわけで、私は、日本相撲協会の対応は概ね妥当なものであると考える。

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