調査捕鯨妨害に対するシー・シェパードの勝利宣言

 佐久間淳子氏と言えば、カメクジラネコ氏と並ぶ反捕鯨論者の代表格である。http://togetter.com/li/13910において、佐久間氏は、「調査捕鯨によるクジラの調査量が当初の計画の半分以下にとどまったのは、シー・シェパードによる妨害のせいだ、とする水産庁の見解は、実は虚構である、と断じる。勿論、全部が全部、シー・シェパードの妨害に帰することは出来ないせよ、大半の原因は、妨害活動によるものだ、というのは常識的に考えれば、明らかな話。それを敷衍(ふえん)するべく、日本に対して勝利宣言を行った、シー・シェパードの最近の広報資料を紹介したい。和訳はNyangoによるもの。

シー・シェパードのクジラ保護キャンペーンにより、528頭のクジラの命が守られる


〜ワルチング・マチルダ*1が大成功を収めた〜


日本の調査捕鯨船が、935頭のミンククジラ、絶滅危惧種である50頭のナガスクジラ、同じく絶滅危惧種である50頭のザトウクジラを殺す許可を日本政府に与えられ、南氷洋サンクチュアリ*2に向けて出発した。彼らの目的は1035頭のクジラを殺すことだった。


シー・シェパードが所有する3隻の活動により、1035頭のクジラを殺すという日本の目的を妨害することができた。シー・シェパードの乗組員は、彼らが意図していた捕殺数の半分以上を削減することに成功した。ザトウクジラは100%守ることができたし、ナガスクジラは98%守ることができた。


ザトウクジラは、当初50頭の捕殺計画があったが、日本は1頭も捕殺することができなかった。


ナガスクジラは、当初50頭の捕殺計画があったが、日本は何とか1頭を捕殺するにとどまった。


ミンククジラは、当初935頭の捕殺計画があったが、日本は506頭を捕殺した。


総計では、不法な日本の捕鯨により、507頭のクジラが捕殺された。


シー・シェパードは全部で528頭のクジラを守ることができた。捕殺の割り当て数に対して大きなインパクトを与えることに成功した。


これは数ヶ月間にわたる努力の結晶である。払ったコストの代償に見合うものである。アディ・ギル号を失った代償に見合うものである。ピート・ベチューン船長の逮捕の代償に見合うものである。


スティーブ・アーウィン号、ボブ・バーカー号、アディ・ギル号の勇敢な乗組員、数百にのぼる陸上のボランティア、数千にのぼる支持者のおかげで、シー・シェパードはクジラの殺害者を追跡、対決、妨害し、また、日本が当初予定していた活動の3分の1の中止に追いやることに成功した。


日本の捕鯨調査船に与えたダメージはどのくらいか?


平均的なクジラの価額を25万ドルとした場合、我々は日本の捕鯨調査船から約1億3200万ドルを奪い去ることに成功したことになる。


控えめにみても、今期の活動により、日本の捕鯨産業が利益を上げることができなかった、と言えるだろう。財務的には最低700頭のクジラを捕殺しなければ、収支が合わないからである。


彼らが逸した利益のうち、シー・シェパードの追跡中に浪費した船舶燃料の費用、安全確保や防護システムのための費用、監視のための航空機の派遣、広報活動のための経費、人権費(何故ならば、追跡を受ける間捕鯨調査船のメンバーは何もできなかったから)が最も深刻であろう。クジラが捕まらないなかで、調査捕鯨船の乗組員たちは、皆で集まって座り、酒やお茶を飲んでいただけだからだ。


水産庁の森氏*3は、当初計画していた通りのクジラを捕殺できなかったことに関し、「サンプル数の欠如は、我々の調査の正確性に影響を与えるおそれがある」と語った。


「我々はまさにそのように望んでいる。しかしながら、最も重要なのは、サンプル数の欠如により調査捕鯨の収益に打撃を与えることだ。」とポール・ワトソン*4が語る。「今年は長期間にわたり活動的に調査捕鯨を妨害した。我々の努力ととったリスクが全部見合うことになった。我々の妨害がなければ死んでいたに違いない528頭のクジラが、今、南氷洋で自由に泳いでいる。乗組員、私、世界中の自然保護主義者にとって十分幸せなことだ。」


環境テロリストの犠牲者を装って、森氏は、31日間にわたり調査捕鯨を妨害したシー・シェパードの活動家のことを「暴力的な干渉だ」と非難する。


シー・シェパードは、クジラの致死的調査を麻痺させたという事実に対して、疑いもなく、誇りを持っている。


「我々の活動を描写するより良い表現はないが」と断った上で、「我々は31日間にわたり日本の卑劣な活動をまぎれもなく麻痺させてきた。官僚が公式に我々の成功を認めたことに対し、えも言えぬ快感を覚えている」とボブ・バーカー号の船長、チャック・スフィフトが語っている。森さん、我々の成功を公式に認めてくれて、ありがとう。


シー・シェパードは、ボブ・バーカー号が受けた損傷の修理を行っており、破壊されたアディ・ギル号の代替船の可能性について検討を行っており、また、捕鯨戦争の当事国である日本の監獄に囚われの身となっているピート・ベチューンを救出活動を展開している。


ワトソンはこう言う。「船舶は代替できるものであるが、絶滅危惧種であり保護すべくクジラは代替できるものでない。我々は船を1隻失い、1人のメンバーが囚われの身となったが、傷害を受けたことも起こすこともなかった。今年の活動は十分に活動的だった。今、我々は組織を再編し、より多くの寄付を集め、船の修理と準備をし、来る12月により良い活動を展開することが必要だ。」


ワルチング・マチルダは、今回6回目の南氷洋サンクチュアリーの派遣となったが、近年で最も輝かしい成功を収めたと言える。

*1:オーストラリアを代表する歌で、同国の国歌に推す動きもあり。ここでは、オーストラリア近傍を含む、南氷洋への調査捕鯨妨害のための活動を、歌になぞらえている

*2:鯨類保護区のこと

*3:水産庁資源管理部遠洋課捕鯨

*4:シー・シェパードの代表