(シリーズ)白坂和彦(大麻報道センターTHC)他との大麻論争(18)

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論点4 大麻の使用・流通が規制されているからこそ、アンダーグラウンドでそれを売買する犯罪組織が大量の資金を得ているのではないですか。犯罪組織の資金源を断つためにも、大麻の使用・流通を解禁すべきではないですか。

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(答え)
 大麻の使用・流通を解禁しても、暴力団をはじめとする犯罪組織が大麻の売買を資金源とし続け、また、政策の意図に反し却って収益を増やすことは大いにあり得ます。

 大麻の使用・流通を解禁したとして、誰が大麻の流通による収益を上げることになるのか、を考えるのが重要だと思います。これから新規に参入しようとする事業者と、これまでやみ市場で大麻の流通を担い、相当なノウハウを有すると思われる犯罪組織とでは、競争にならないものと考えられます。犯罪組織間でカルテルを作ったり、新規参入しようとする事業者に対して圧力をかけたり、ということも当然あり得ると思います。犯罪組織が大麻の流通により公然と収益する結果にもなりかねず、却ってマイナス面が大きくなる可能性も否定できない、と思います。

 国、または、これに準ずる特定の機関が、品質を厳格に確保しつつ、大麻の栽培・流通を独占する、という政策オプションは当然あり得ると思います。しかしながら、「少量でより多幸感が得られる」として、身体に深刻な影響をお呼びしかねない不純物入りの大麻を、犯罪組織が闇市場で売りさばく、ということもあり得ると思います。解禁により、大麻喫食者の裾野がはるかに広がる分、犯罪組織への資金流入が却って増加する懸念も否定できないと思います。

 また、当初「ハードドラッグとソフトドラッグを分離する」とした、コーヒーショップをはじめとするオランダの寛容政策は、ヘロイン等ハードドラッグの使用を有意に減らすことはできませんでした。オランダの例を日本にそのまま適用するのは不適切かも知れませんが、大麻を解禁したとしても、末端価格1gあたり6万円(大麻の10倍の単価)のヘロイン等、ハードドラッグの売買は減らず、犯罪組織への資金流入を減らす効果は殆ど期待できない、と予想することも出来ます。