アイスランドの火山噴火による航空への影響について

 ニューヨーク・タイムズの18日付の報道が興味深いので、クリップします。

 アイルランドの火山噴火により欧州の航空はほぼマヒ状態にあるようです。搭乗客からだけでなく、航空会社、空港運営会社からも、運航停止や空港閉鎖といった一連の措置が、やり過ぎではないか、と相当の不満が出ています。一説では、航空会社の損失は約1000億円にのぼり、アメリカ同時多発テロ事件をはるかに凌ぐ被害額になるだろう、とのことです。

 火山の噴火により運航停止や空港閉鎖といった措置がとられる理由は、飛行機からの視界が悪くなるといった理由でなく、大気中に浮遊する火山灰がジェットエンジンに入りこむと、エンジンが燃えたり、停止する危険性があるからだそうです。過去には、ボーイング747機(ジャンボ・ジェット)のエンジンが4つすべて停止した、といったニアミスもあったそうです。

 気象当局の予想では、火山灰が浮遊する範囲は高度15000フィートから25000フィートの間であり、航空機の進路である35000フィートには影響がないように思えますが、火山灰は極めて軽く、ジェット気流に流されて上昇する危険性も否定できない、ということで、ほぼ全面的な飛行停止措置がとられています。

 しびれをきらして、ルフトハンザドイツ航空やベルリン航空が、乗客を空にしての試験飛行を行いました。火山灰による飛行への影響がないことを証明し、規制解除を当局に迫るのが目的でした。しかしながら、数回の試験飛行の成功が、火山灰が浮遊する中ですべてのフライトの安全性を担保するものでないとして、依然規制を継続したままです。

 その他、南米からパリへ旅行中のカップルが、パリから飛行機で帰宅することを諦め、ポルトガルまでレンタカーで飛ばす姿や、ロンドンとパリ、ブラッセルを結ぶ欧州版新幹線、ユーロスターの切符を求める人々の行列がもの凄く長い、といったことも報じています。