(シリーズ)白坂和彦(大麻報道センターTHC)他との大麻論争(18)

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論点3 コーヒーショップをはじめとする、ハームリダクションを始めとするオランダの薬物政策は成功しています。我が国も少量の大麻所持・栽培・流通・輸出入を合法化する等、これに追従すべきではないでしょうか。

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(答え)

  • ハームリダクション政策のみが、薬物政策を成功させる唯一の手段であるとは、言えません。また、大麻の栽培・流通・輸出入は欧州でも懲役刑を科されています。我が国のみが、栽培・流通・輸出入を含めた大麻の全面合法化を押し進める理由はないと思います。
  • 欧州には、オランダだけに限定しなくとも、他に見習うべき国があります。
  • 数十年もの間、厳罰政策(ゼロトレランス)を採用してきたスウェーデンは、欧州の中でも薬物の蔓延がとりわけ少ない国として有名です。人口1人あたりのドラッグ経験割合(コカイン、アヘン等)では、オランダよりもはるかに低い値を達成しています(参考Sweden’s Successful Drug Policy: A Review of the Evidence(UNODC国連薬物犯罪事務所))。薬物対策(刑務所・厚生施設の増設費用、警察官等の取締要員の確保、調査研究の充実、薬物中毒者に対する治療制度等)のに潤沢な予算を費やす等の様々な努力あっての成果ですから、厳罰政策を直ちに導入すべき、と結論するのも早計ですが。
  • なお、コーヒーショップを導入したオランダにおいて、ヘロイン等の薬物消費が有意に減った、という事実はないそうです(Rick Steves Europe: Drug Policy in the European Union)。